多くの人にとって睡眠の量を増やして、

睡眠不足をカバーするのは現実的では

ありません。

 

ただ量を求めて「たくさん」眠っても、

睡眠の問題は解決されないことが、

最新の研究でわかっています。

 

本記事では、眠り方の新常識と、

値不足解消法を紹介します。

 

「6時間寝てスッキリな人」と「8時間寝たのに眠い人」

睡眠で大事なのは、量・質どちらかを

選択するなら、質が重要です。

 

もちろん、量が少なすぎると、弊害が

生まれるので、最低6時間は確保する

のが望ましいです。

そのうえで、睡眠の質の向上に取り

組むのが望ましいです。

 

たとえば、6時間睡眠の人より2時間

多く眠っている8時間睡眠の人も、

質が悪ければ、6時間睡眠の人の

ほうが回復度は高く、日中のパフォー

マンスもよいことも十分ありえます。

 

それくらい、睡眠の質は、「日中の

覚醒」に深く影響しています。

 

「6時間睡眠の人」が「8時間寝た人」

よりも眠りの質がよく、回復度が高い

とき、いったい何が起きているのでし

ょうか。

 

「睡眠の質」とは具体的に何を指して

いるのでしょうか。

 

実は、寝始め90分の眠りの深さこそが、

その晩全体の睡眠の質だと考える

ことができます。

 

睡眠中は、約90分周期レム睡眠

(深い睡眠)とノンレム睡眠(浅い

睡眠)が交互に入れ替わっています。

 

ここで、最初のノンレム睡眠が全体を

通して最も深い睡眠であることが

わかっています。

 

睡眠の役割を知るために「断眠実験」を

することがあるのですが、この1回目の

ノンレム睡眠を妨害すると、その後に、

実験が継続できなくなるほど睡眠

パターンが乱れます。

 

なので、断眠実験では2回目のノンレム

睡眠から妨害することも多く、それくらい

「1回目のノンレム睡眠」はその後の

眠りの土台となっているのです。

 

つまり、何時間寝ようが最初のノンレム

睡眠がやってくる90分が崩れれば、

残りも総崩れになってしまうのです。

 

「寝始め」につくられる最強ホルモン

最初の90分のノンレム睡眠には、

脳と体のパフォーマンスを高める

うえで、欠かせない役割があります。

 

・筋肉や骨を強くし、代謝を高める「成長ホルモン」が最も分泌される
・日中溜まった、眠りたいという欲求「睡眠圧」の大部分が放出される
・免疫力を高めて病気を予防する
・最初のノンレム睡眠の深さに応じて、自律神経も整う
・大脳皮質に記憶を保存させる
・嫌な記憶を消去する
・脳の老廃物の除去が進み、脳のコンディションがよくなる

特に成長ホルモンは、日中ハイパフォー

マンスを発揮したいなら味方にしたい

ホルモンで、80%近くが「寝始め90分」

の間に分泌されることがわかっています。

 

 

細胞の成長や皮膚の柔軟性アップなど、

アンチエージング効果を高める作用も

あるので、若々しくいるためにも、

寝始め90分はしっかり深めて

おきたいところです。

 

最初のノンレム睡眠の質を深めて、

これらの恩恵を丸ごと受け取れる

ようにするには、2つのアプローチ

があります。

 

(1)体温を上手に操る

(2)脳を徐々に睡眠モードに持っていく

 

まず、人は眠るとき、体の内部の温度で

ある「深部体温」が下がる特徴があります。

そして明け方まで深部体温は下降を続け、

その後、覚醒に向けて上昇を始めることに

なります。

 

この入眠の際に必要な「深部体温の

下降」を助ける方法として有効なのが、

「就寝90分前の入浴」です。

 

深部体温は「上がった分だけ下がる」

という性質があり、われわれの実験では

「40度のお風呂に15分入った場合、

深部体温が0.5度上がる」ことが確認

されています。

 

深部体温は大きく上がった分だけ大きく

下がろうとするので、40度のお風呂に

15分入れば、入眠に必要な体温下降が

より大きくなり、最初のノンレム睡眠の

質がぐっと深まります

 

そして、「上がった体温が大きく下がる」

には約90分を要します。

なので、就寝90分前に入浴できれば、

いつも寝る時間の頃には体温がスムーズに

下がって、眠りやすくなるのです。

 

関連して、食事をした後それが消化された

後に睡眠に入ると良いと言われています。

一般的には、2時間から3時間といわれて

います。

 

下記に示すように、食べたものによっても

違ってきますので、参考に為て下さい。

 

 果物         :20〜30分
 野菜            :1〜2時間
 炭水化物(お米、パン):2〜3時間
 魚(刺し身)        :2時間程度
 魚(焼き魚、煮魚)  :3時間程度
 肉(煮物)         :3時間程度
 肉(ステーキ)       :4時間程度
 天ぷら              :4時間程度

 

「靴下を履いて寝る」は安眠に逆効果

「深部体温が下がる=睡眠」「深部

体温が上がる=覚醒」ことはご存じの

方も多いと思うのですが、実はここに

もうひとつ、別の種類の体温が関係

してきます。

 

それは「手足の体温」です。

赤ん坊で顕著なのですが、眠くなって

くると、人は手足が温かくなる性質が

あります。

 

これは手足から熱を放散している

からで、手足から体内の熱が逃げる

ことで、深部体温は下がり、入眠に

向けての準備が開始されるのです。

 

睡眠中も手足から熱が放散される

ことで、深部体温の下降が促され

深い睡眠がやってきます。

 

なので、冷え性対策でよく提唱されて

いる「靴下」の重ね履きをすると、

熱をうまく放散できなくなって深部

体温がしっかり下がらず、

 

結果、寝つきが悪くなって眠りの質も

浅くなってしまうのです。

 

冷え性でつらい」という方は、

入浴の際、足湯などで足を温めて

熱放散しやすい状態をつくっておくか、

運動を習慣づけて抜本的に改善していく

のが良質な眠りにとってはよいです。

 

もうひとつの手法、「脳を徐々に睡眠

モードに持っていく」というのは、

できるだけベッドに入るまで同じ行動

とって、脳に「これをすると入眠」という

条件付けをしてやる、という手法です。

 

実際、動物実験でマウスを新しいケージに

引っ越しさせると、直後は眠りにくくなる

ことがわかっています。

 

「旅先で枕が変わると眠れない」という

人はまさにこのマウスと同じ状態で、

どんなに好奇心旺盛な人でも、就寝前の

脳はチャレンジを好まないのです。

 

いつもどおりのベッドで、いつもどおりの

時間に、いつもどおりのパジャマで、いつも

どおりの照明と室温で眠る。

 

いかに「いつもどおり」を保つかが、脳を睡眠

モードに持っていくうえでは重要だといえます。

 

脳が眠りを拒否する「睡眠禁止ゾーン」

「いつもどおりの時間に寝るのがいい」

の内容は、夜更かしはいけないととらえ

られがちですが、実はそれだけでは

ありません。

 

「前倒し」でもいい睡眠が得られない

ことがわかっているのです。

 

人は起きていると眠気のもとである

「睡眠圧」がどんどん溜まり、入眠

すると最初のノンレム睡眠で溜まった

「睡眠圧」が放出されます。

 

なので、「睡眠圧が最も高まる」入眠

直前がいちばん眠くなると考えられて

いたのですが、「いつも寝る時間の

2時間前くらいから入眠直前までは寝

にくい」ことがわかっています。

 

これは、日中眠気に対抗して覚醒を維持

しようとするシステムが、眠る直前に最も

働くからだと考えられています。

 

しかし、なぜ入眠直前にいちばん高まる

のかはわかっていません。

 

ただし、「就寝直前はいちばん眠く

ない」ことは何人もの研究者に確認

されていて、この「最も眠りにくい

時間」は「睡眠禁止ゾーン」と

呼ばれています。

 

「後ろにずらすのは簡単、前にずらす

のは困難」これが睡眠の性格といえる

でしょう。

 

なので、「明日早い」というときは、

無理せずいつもどおりの時間で眠るか

もしくは、どうしても1時間早めに

寝たいなら、いつもより1時間早く

 

お風呂に入って、ストレッチなど軽い

運動を組み合わせて体温を作為的に

上げることをおすすめです。

 

また、睡眠時間を後ろにずらして

「いつもなら寝ている時間」に起きて

いると、成長ホルモンが全く分泌され

ないこともわかっているので、「入眠は

規則正しく」は心掛けたいポイントです。

 

「徹夜確定」そんなときの夜の過ごし方

「最初の90分が、その後の睡眠の

質を左右する」このことを踏まえると、

「今日は徹夜作業だ」という夜は、

 

とりあえず90分だけ寝てしまって、

そこから起きて作業を開始することが

賢明といえます。

 

この場合、睡眠量は明らかに不十分

ですが、質の面では「最低条件下で

最大限のメリット」を得られることに

なります。

 

眠った時間の90分ほどは、その後の

効率アップで元が取れるはずです。

 

一方、眠気をこらえて明け方5時ころ

まで資料をつくり、「せめて7時まで

2時間寝よう」というのもよくある話

ですが、

 

この場合脳は興奮していて、明け方に

なると体温も上昇を開始するので眠り

づらいです。

 

結局明け方まで仕事をして眠ったと

しても「ベッドに入ってうとうとした

けれど、寝た気がしない」という、量が

少ないうえに質が悪い状態で出社する

ことになるのです。

 

まとめ

「寝始め90分」の効果と睡眠の質の

関係を知っているか知らないかで、

翌日のパフォーマンスへの悪影響を

最小限にとどめられるか、最悪の結果に

終わるかが決まるといえそうです。

 

睡眠は脳を休めるためにも非常に

重要ですので、本記事で紹介した

手法を上手にコントロールして、

健康な生活を目指しましょう。