2018年2月末の金曜はまさに「悪夢の

金曜日」になってしまいました。

 

強気から一転して窮地に立った安倍政権に、

金曜の未明から午後にかけて超ド級の

衝撃が、次々と襲い掛かってきました。

 

これが市場をさらに直撃することとなり、

日経平均は「底」が割れたような状況と

なっています。

 

本記事では、2018年2月末の金曜に

起きた、4つの事象を解説します。

 

 

米トランプ大統領 鉄鋼・アルミ輸入制限

まず、この日の未明には米国のトランプ

大統領が、鉄鋼やアルミについて「輸入

制限」を打ち出し、世界中に「貿易戦争」

の衝撃を与えました。

 

米国の「安全保障上の脅威」を除去する

ため、鉄鋼20%、アルミ10%の「追加

関税」をかけ、米国の鉄鋼メーカーを守る

という内容です。

 

「追加関税」の対象には日本企業も含ま

れるとみられ、約30年ぶりとなる「貿易

戦争」の勃発に、日本の官民が頭を抱えた

だけでなく、世界市場が激震に見舞われる

こととなりました。

 

トランプ大統領は通常の法的手続きを

飛ばし、全て一人で勝手に決め、商務省に

通告し、一方的に世界に向けて発表したと

されています。

 

米国政府は上から下まで大混乱中のよう

です。

日本政府にとっても「寝耳に水」でした。

 

「トランプ流」交渉術はまず「はったり」

をかまし、相手を動揺させて交渉に引き

ずり込んだ上で、可能な限りの譲歩を

得るというのが「定石」です。

 

したがって先月からトランプ氏が示唆して

いた、保護主義的な政策はただの

「はったり」であり、

 

中国に対しては米国製品のさらなる輸入拡大を、

韓国に対しては「従北政策」の転換を、

日本に対しては米国武器の導入と防衛協力を、

 

それぞれ迫るため材料だろうという

「観測」を、安倍政権は漠然と考えて

いました。

 

30年前と違ってWTO体制が確立した今、

一方的な輸入制限は「禁じ手」だからです。

 

実際、こうした「貿易戦争」を仕掛ければ、

中国や欧州などからの「報復」を招き、

他ならぬ米国経済が大打撃を受けることと

なります。

 

しかし、トランプ大統領はその「禁じ手」

を堂々と、予告も交渉も根回しもなく

本当にやってきました。

 

大統領は「安全保障上の理由」といいます。

確かに、WTOも「安全保障上の脅威」の

ためには、「例外扱い」として認めている

のは事実ですが、

 

鉄鋼輸入が「安全保障上の脅威」という

のでは、理由をつけて何でも輸入制限

できることになります。

 

トランプ政権の怖いところはこれを先例

として、自動車や家電、PCなどあらゆる

耐久財・消費財について、「安全保障上」

の理由をつけて輸入制限をしかねず、

 

際限のない「貿易戦争」を招く恐れが

あることです。

 

実際、中国や欧州は本格的な「貿易戦争」

を警戒し、即座に「報復」措置を示唆する

に至っています。

 

私達が生活の基盤としてすっかり馴染んで

きた、「自由貿易体制」がこれで終わる

恐れすらあり、世界経済にとって大きな

脅威といえます。

 

日本市場に激震が走ったのはもちろんで

あり、まさに「悪夢」のような展開です。

「悪夢の金曜日」はまだ続きます。

 

 

「森友文書」改ざん

永田町を震撼させたのは朝日新聞の朝刊

一面です。

 

財務省が国会議員に提出した「森友文書」が、

実は改ざんされたものであったという事実を、

朝日新聞がすっぱ抜いたという件です。

 

これは、にわかには信じられない話です。

もし、この記事の内容が間違ったもの

だったならば、「慰安婦報道」の罪を

さらに上塗りすることになり、

 

朝日新聞が即座に廃業すべき世紀の大誤報

です。

 

しかし、報道が事実なら昨年行われた国会

審議は、改ざんされた資料に基づいて

行われたことになり、内閣の存続に

かかわる大不祥事となります。

 

明治以来の立憲政治の伝統に鑑みても、

大臣のクビくらいでは済まない重大案件

です。

 

そもそも公文書の偽造は「重大な犯罪」

です。

 

財務省が提出した文書には担当者の印が

あり、法律上の「有印公文書」にあたり

ますが、

 

「有印公文書の変造」は懲役1~10年

という、かなり重い罪になります。

 

政治問題と化している重大な国会審議の

資料を、財務省の誰かが個人的に改ざん

するというのは、いくらなんでもリスクの

高すぎる話ですが、

 

仮にそれが組織的な命令で行われたので

あれば、政権の存立根拠が失われるほどの

重大犯罪です。

 

この日の朝、朝日新聞を見て関係者は仰天

しましたが、しかし国会審議を聞くまで

半信半疑でした。

 

日本の官僚の習性から言って、文書を

隠したり廃棄したりすることはあっても、

嘘を書いたり改ざんしたりすることは、

これまでの歴史上、極めて稀なことでした。

 

しかし、麻生財務大臣は記者団の取材に

対して、改ざんの事実を否定しなかった

ばかりか、朝日の取材が正しいことを

示唆する発言をしました。

 

また、その日の参議院予算委員会では、

改ざんの事実について答弁を拒否する

財務省に対して、

 

立憲の福山議員が改ざん「前」と「後」の

文書を、参考資料として全議員に配布して

しまいました。

 

福山議員がどのルートで入手したのかに

よらず、もしこれが「ガセ」の資料

だったなら福山氏もまた、政治責任を

とって議員辞職すべき事柄です。

 

例えば、「永田メール事件」で永田議員は

引責自殺しています。

 

しかし、テレビ中継もされた国会審議の

場で、堂々と「物証」を突き付けられて

しまったため、

 

財務省はこれらの文書が出てきた過程に

ついて、週明けまでの「調査」を約束

させられました。

 

ここでの与党・自民党の動きも妙でした。

 

本来、予算委員会で配布されるような

文書は、事前に理事会での審査に付される

ものです。

 

国会の慣行上、「出典が不明」とされる

文書は、配布が許可されないことになって

いますから、

 

理事会で与党理事がきちんと反対をすれば、

福山議員は資料配布ができなかったはず

なのです。

 

しかし予算委員会で配布されたという

ことは、この資料はある程度、出典が

明らかということになり、何よりそれを

与党側の理事が認めたことになります。

 

結局、この日、朝日が報じた「改ざん

疑惑」を、財務大臣も財務省幹部(理財

局長)も明快に否定せず、

 

与党理事も予算委員会での配布を認めた

ことで、「改ざんは事実だろう」という

見方が広がっています。

 

こと、ここに至った以上、この問題は

争点になります。

 

今後、官邸と財務省がどういうロジックを

使って、政権を守るのかに注目が集まる

ところです。

 

まだ、世間はあまりこの件を消化し切れて

いませんが、安倍政権以前の内閣であれば、

即座に総辞職を余儀なくされたであろう

大不祥事です。

 

そのため後述する「党と霞が関の反乱」の

行方次第で、安倍政権には「早期退陣」の

懸念すら浮上しています。

 

しかし、これで終わりではなかったのです。

「悪夢の金曜日」の衝撃はさらにまだ

続きます。

 

 

「リニア談合疑惑」刑事事件へ

この日の昼、「リニア談合疑惑」で逮捕・

立件され、ついに刑事事件になって

しまいました。

 

いくつかのメディアが報じている通り、

今回の「談合」の疑惑は異例といえる

もので、立証はかなり難しいだろうと今

もみられています。

 

互いの工区についての「情報交換」は

あっても、不正な受注調整の形跡はないと

されており、逮捕されたゼネコン側は徹底

抗戦の構えです。

 

東京地検は「空振り」のリスクをとった

形です。

 

仮にこの案件で「空振り」に終わったなら、

地検の面目は救いがたいほど失墜しますが、

それでもあえて検察がリスクをとって

きたのは、

 

地検の狙う「本丸」はゼネコン同士の

「談合」より、リニア工事の受発注段階

での「政治の関与」、

 

つまり「政界ルート」にあるからだと

みられています。

 

「組織犯罪処罰罪(テロ等準備罪、共謀罪)」

以後、検察は掌を返したように政権と対峙

しつつあります。

 

今回、逮捕者が出た「リニア談合疑惑」

だけでなく、「スパコン詐欺疑惑」でも

「政界ルート」が、検察の狙う「本丸」

ではないかと疑われています。

 

また、過去の一連の不祥事の汚名返上を

狙う大阪地検は、昨年から大炎上している

「森友問題」の告発を受理し、

 

籠池夫妻を長期間の拘留で廃人に追い込み

つつありますが、財務省の官僚達もまた

連日、厳しく締め上げられています。

 

大阪地検にとっても東京地検と同様に、

総理夫妻につながる「政界ルート」の

追及が、やはりその「本丸」だろうと

みられています。

 

考えてみれば官邸と党の力関係が逆転した

瞬間に、東京地検が「リニア談合疑惑」で

一挙に踏み込み、

 

大阪地検の手がける「森友問題」で改ざん

文書が出て、同時多発で政権に動揺を

与えたという事実は、自民党、財務省、

検察らが連動しての、

 

安倍政権への「反乱」であるという観測

すらあります。

 

仮にこの「党と霞が関の反乱」が事実で

あるなら、安倍政権は本当に「重大局面」

にあるといえます。

 

「悪夢の金曜日」はこれで終わりでは

ありませんでした。

この日の午後、ついに日銀が動いたのです。

 

 

日銀「金融政策の転換」へ

よりによって黒田総裁への衆議院での

聴聞は、この「悪夢の金曜日」の午後に

なっていました。

 

予算案の「強行採決」と連動した形で、

先週までの観測から若干、早まったと

聞いています。

 

この日行われた議運での聴聞で、黒田

総裁が「2019年に出口を議論」と

認めたのです。

 

これは政界にとっても市場にとっても衝撃

でした。

 

現実的には、政府・日銀の資料をもとに、

来年あたりから、金利を上昇させる

シナリオが、不可避という状況です。

 

しかし、よりによって内外で重大事態が

連続し、政界と市場が激しく動揺している

その最中に、黒田総裁が「出口の議論」に

言及をするとは、政権にとっても「予想外」

だったようです。

 

日銀の同意人事は「超重要日程」ですが、

「異次元緩和の無期限継続」が既定路線

であり、「出口の条件」が示唆される

ことはあっても、

 

「出口の時期」についての言及がある

ことは、まずないだろうとみられていた

ところです。

 

実際、直前まで衆参の予算委員会で黒田

氏は、相変わらず「出口」についての

議論を封印し、話題にしないという

スタンスを堅持し、歯切れの悪い答弁を

ずっと続けていました。

 

ともかく黒田総裁の発言は、

ちょうどこの日の大引け間際のことでした。

 

この黒田氏によるサプライズ発言によって、

この日、後場に持ち直しつつあった日経

平均は、大きく下げて引けることになり、

 

「円高」がさらに進行した他、

「長期金利」がまた急騰することとなり

ました。

 

政権にとっても「想定外」のことだった

ようです。

 

まさに、「悪夢の金曜日」の展開です。

今週は5日に衆院で副総裁への聴聞が、

6日と7日は参院で総裁と副総裁への

聴聞が、

 

それぞれ行われることになりそうと聞いて

いますが、市場の混乱を容認するような

発言がさらに出れば、

 

「株」「金利」「為替」はさらに混乱する

恐れがあります。

 

とりわけ、今週はメジャーSQです。

日銀のETF買いなどの下支えがないとなると、

「想定外」に大きな下げを試される恐れが

あります。

 

安倍政権が「重大局面」に陥るのと同時に、

こうして日経平均も「重大局面」に陥って

しまいました。

 

 

今後の展望

メディアはまだ消化し切れていないよう

ですが、「悪夢の金曜日」に発生した

一連の事柄は、どれも十~数十年に

一度あるかないかという、

 

極めて重大な事件ばかりであり、

「歴史の転機」となる恐れすらあります。

 

こんなことが朝から夕方までに連続して

起きるあり得ない事態に、

政権は衝撃を受け、動揺しているようです。

 

相場にとっても「重大局面」の恐れが

あります。

 

もはや「平時」ではありません。

安倍政権の再選に「黄信号」が灯った

だけでなく、早期の崩壊、瓦解の可能性が

浮上してきたことは、

 

「アベノミクス相場」の終焉を意味

しかねません。

 

ただ、後継総理が岸田氏や石破氏になった

としても、安倍政権の経済政策の多くは

継承されるとみられ、

 

「政権移行期」にともなう混乱が収束した

後は、日経平均は堅調さを取り戻す

可能性がありますが、

 

しかし大きな混乱は避けられないと

思われます。

 

仮に安倍政権がなんとか存続に成功したと

しても、今後は日米揃って「金融政策の

転換」に転じます。

 

「アベノミクス相場」と「トランプ相場」

の主柱が、遠からずなくなってしまう

ことを示していますし、

 

何より、今後は過去の金融緩和で蓄積した

「副作用」を、どう軟着陸させていくかの

勝負になりますが、

 

当局が「副作用」のマネージメントに失敗

すれば、悲劇的な結末を招きかねない

ことは、世界中の金融関係者が警戒を

しているところです。

 

米国の「貿易政策の転換」も決定的であり、

世界経済は「有事」に移行しつつあります。

 

米国が「自由貿易体制」を破壊し始めた

のをみて、日経新聞は土曜朝刊の一面で

ヒステリックに、

 

「過去に例をみない貿易戦争の恐れ」と

書き、市場と社会に対して警鐘を鳴らして

いますが、類似の「過去の例」はあります。

 

主要国が保護関税と通貨安で利益を奪い

合った挙句、全面的に軍事衝突した「

第2次世界大戦」がそれです。

 

今、EUや中国が米国の保護貿易政策に

反発し、対抗策としての「報復」を表明

しているところなど、

 

「第2次世界大戦」の前夜にそっくりな

展開です。

 

おおげさな表現と感じられるかもしれま

せんが、事実です。

 

今後の展開を、冷静にみていきましょう。